リヴリーの掌編小説

片付かない部屋:Side-B

リヴリーの掌編小説

毎日、とにかくそうじばかりしている。
ひとり増えるくらいならなんとかなると思っていたのが甘かった。

オオカミの子がやってきて、私の生活は一変した。
完璧に決められたタイムスケジュールはあっさりと崩壊し、毎日予想もつかない出来事が降ってくる。
生活習慣というのは生き方そのものであるということを、ルーヴと一緒にいると痛感する。

食べたものを置きっぱなしにしてはいけないと言うと、「あとでまた食べるのに?」と不思議そうな顔をする。
食べ物をこぼさないようにと言えば、「こんなちょっとのパンくず、よく気づくね!ママってあたしより目がいいんじゃない?」と返ってくる。
これまで正しいと思っていた価値観が足元から崩れていくような感覚。
それらすべてを凌ぐような、愛しいという感情をルーヴは私に教えてくれた。
ひとりでは決して手に入れることのなかった幸福を、両手で抱えきれないくらい与えられている。

備品の部屋に入ると、想像どおり散らかっていた。
私に叱られると思ったのか、ルーヴの姿は見当たらない。
片付けを始めようとして、日記が開いたままになっていたことに気づいた。
ページの端に小さな文字が書かれている。

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ママすき

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天井に干されているクーたんが言った。
「ルーヴがずっと文字の練習をしていたよ。ママにお手紙を書きたいって」
クーたんを洗濯ピンチから外しながら、胸の奥があたたかくなっていくのを感じた。
「すっかり乾いてふかふかになったわね。きっとルーヴも喜んでくれるわ」
「ボク、お洗濯のにおい好きだよ。グルグル回るのはちょっと大変だったけど、たまになら洗ってもいいよ」
「ごめんなさい。次からは洗濯機じゃなくて手洗いにするわね」
クーたんと笑いながら、ルーヴを呼ぶ。
お茶を淹れて、ダークチェリーケーキでおやつにしましょう。

リヴリーの掌編小説

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