リヴリーの掌編小説

片付かない部屋:Side-A

リヴリーの掌編小説

「お部屋を散らかしてはいけない」ってママに怒られた。
食べかけのリンゴとか、パンくずとか、そういうのをきちんと片付けなさい、って。
だけど、リンゴはあとでまた食べるし、パンくずなんてちょっとくらい落ちててもいいじゃん。
ダークチェリーケーキはママと一緒に食べようと思って、ひとくち味見しただけなのに。
それに、クーたんを洗濯しちゃうなんてひどい!
クーたんがぬいぐるみじゃないって知ってるはずなのに、「汚れているからきれいに洗いましょう」だって。
かわいそうなクーたん。
あんなところに干されちゃって、だっこしてあげたいけど手が届かないの。

ママはあたしのこと悪い子だと思ってるかな。
せっかくママになってくれたのに、やっぱりあたしのこと捨てちゃおうって思ってるかな。
どうしたらいい子になれるかな。

泣きたくなって、机の上をぐちゃぐちゃにしてやろうと思った。
机にひろげてあるノートを見たら、ママの日記だった。

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今日もルーヴが備品の部屋でパンを食べて、あちこちにパンくずが落ちていた。
備品の部屋で食事してはいけないと言っているのに。
私の伝え方がよくないのだろうか。

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クーたんが汚れていたので洗ったら、ルーヴが大声で泣いてしまった。
きれいにすることは気持ちがいいことだという価値観は、私の勝手な押しつけなのかもしれない。
気持ちを共有するのは難しい。

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ルーヴを迎えてから、とにかく毎日そうじばかりしている。
そして、毎日幸せな気持ちで胸がいっぱいだ。
生涯ひとりで生きていくと思っていたけれど、やはり私の占いは当たらない。
占いが当たらなくてこんなにうれしいなんて、不思議なものだ。

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ママの日記、こっそり読んでごめんね。
難しくてわかんない言葉もあるけど、ママの気持ちが少しわかった気がする。
いい子じゃなくてごめんね。
あたしもママと一緒にいられて毎日幸せな気持ちで胸がいっぱいだよ。

リヴリーの掌編小説

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