リヴリーの掌編小説

月の鳥

リヴリーの掌編小説

籠が開いているのに気づいたとき、すでに鳥は飛び去っていた。

月の鳥と呼ばれるその鳥は、満月の夜に美しい声で鳴くため「月泣鳥」の異名でも愛されている。
欲しがる者は後を絶たないが、一般に手に入れることはできない。
なぜならこの鳥はたった一羽しかいないからである。

言い伝えによれば、新月の晩に月から落ちてきた鳥を見つけた者が助けたらしい。
それから数百年もの間、特別な籠の中で保護と観察を続けてきた。
過去にも一度、月の鳥が逃げ出したという記録が残されているが、どうやって捕獲したのかは記されていなかった。

月の鳥は帰りたがっている。
しかしあまりにも遠いため、自身が飛ぶかわりに月を引き寄せるのだ。
少しずつ大きくなっていく月を見て、人々が楽しそうに言う。
「今日ってスーパームーンだっけ?」
「赤い月なんて初めて見た」

早く見つけて籠に戻さなければ。
過去に月の鳥が逃げ出したときの記録を思い出し、背筋が凍るような冷たさをおぼえた。

リヴリーの掌編小説

あなたの物語をアクセサリーにします

心の奥に抱えた大切な気持ち、そっと聞かせてください。
その思いを素材に、あなたの物語を書き下ろします。

Your Book