リヴリーの掌編小説

クッキー缶の中の秘密

リヴリーの掌編小説

おなかがぺこぺこで、背中とくっつきそう。
昨日の朝にチョコレートのかけらをひとつ食べたきり、お水しか飲んでいないんだもの。
この子にもなにか食べさせてやらなきゃ。

くまのクーたんを連れて食べ物を探していたら、窓から甘いにおいがしてきた。
あの星の窓だ。
あたしは窓からこっそり忍び込んだ。
ドロボウはいけないことと知ってるけど、こういうのを「セにハラは変えられない」って言うんでしょ。

机の上にはきれいなクッキー缶があった。
やった!
急いで蓋を開けると、中にはたくさんの光の粒が入ってた。
食べ物がないことにがっかりする間もなく、光があふれ出て部屋を照らし出す。

「あらあら、かわいいイヌさん。どこから入ったのかしら」
「あたし、イヌじゃない。オオカミだもん」
ひつじのツノをつけた女の人が、あたしを見て微笑んだ。
「占いでは、こわーいオオカミが現れるって出ていたのだけど。こんなにかわいらしい方がいらっしゃるなんて、やっぱり私の占いは当たらないわね」
占いってなんだろう。食べられるのかな。
そう思っていると、その人はやさしく言った。
「おなかがすいているのね。ちょうどいま、パウンドケーキが焼けたからどうぞ召し上がれ。小さなくまさんもご一緒に」

クーたんがあたしの手をぎゅっと握った。
クーたんをぬいぐるみと思わなかった人は、初めてだ。
からっぽのはずなのに、おなかの中があたたかくなっていくのを感じた。

リヴリーの掌編小説

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